私は昨年2015年4月24日(金)から26日(日)の3日間、第79回日本循環器学会学術集会を主催させていただきました。日本循環器学会学術集会は今や日本でも最大級の学会で、一般演題の採択率は63.2%で2,328題、特別プログラム 1,202題、合計3,530題の研究成果が報告されました。3日間の学術集会参加者数は、18,287名にのぼりました。このうち海外からの参加者は357名で、特別講演などでの海外招待者は81名でした。参加者総数は世界の3大循環器学会であるAmerican Heart Association(AHA)、American College of Cardiology(ACC)、European Society of Cardiology(ESC)に並ぶような勢いですので、海外からの参加者の割合がもう少し伸びれば世界を代表する循環器学会になると思います。もともと、本学会は、AHA、ACC、ESCなどとの交流を盛んに行っておりましたが、アジアとの交流が重要と考え、昨年の日本循環器学会学術集会ではアジアンセッションを開催し、今後も継続していくことが決まっております。またWorld Heart Federation(WHF)へ再入会いたしました。グローバル化に対応してこのWHF再加盟が本邦における循環器内科学発展につながればと考えておりますし、アジアの代表としての日本を世界に示していける場面になればと考えます。
平成25年度の国民医療費は40兆610億円となりました。診療医療費を分類別にみると、「循環器系の疾患」5兆8,817億円(構成割合20.5%)が最も多く、次いで「新生物」3兆8,850億円(同13.5%)となっています。一番医療費のかかっている循環器系の疾患、これは心臓病と脳卒中です。がんに対しては「がん対策基本法」がありますが、「循環器疾患対策基本法」も必要と考えます。本学会では2004年から循環器疾患診療実態調査を開始し2013年からは The Japanese Registry Of All cardiac and vascular Diseases (JROAD)と名付け、全国すべての循環器専門医研修施設および研修関連施設1321施設からデータを収集し、精度の高い実態把握をしております。急性心筋梗塞68,850例、心不全患者238,840例など多くのデータが明らかになってきました。しかし今後、循環器疾患対策を総合的かつ計画的に推進するためには法整備が重要と考えます。そのために本学会がすべきことは循環器疾患患者さんとの交流から患者さんの会の全国組織を作ることです。そのために各地域で存在している様々な患者さんの会を合わせて全国的な組織を作ることを目標に活動していこうと考えています。会員の皆様の更なる御協力と御指導をお願い致します。
2016年が皆様の飛躍の年となりますことを祈念しております。
日本循環器学会 代表理事 小川 久雄 国立循環器病研究センター副院長
|