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 日本循環器学会 JCS Newsletter Vol.1 -- 2006.11.21 --

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=コンテンツ=

●JCS Newsletter 創刊のご挨拶
【1】World Circulation News PLUS
【2】AED検討委員会から情報提供のお願い
【3】循環器専門医「研修単位申告免除」および「保留制度」の廃止について
【4】第70回記念学術集会DVD-ROMのご案内
【5】地方会案内

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●○ JCS Newsletter 創刊のご挨拶 ○●

 平素は学会活動にご理解を賜り厚く御礼申し上げます。
 「IT化」という言葉が古めかしく感じられるほどに、今日の情報発信・交流
はITを抜きにしては語れません。
 日本循環器学会においても、会員サービスのツールとしてITを積極的に活用
すべきであると考えております。その一環として、会員の皆様によりきめ細かな
情報提供を行うべく、メールマガジンを始めることにいたしました。
 当初の企画としては、学会からのお知らせの他、海外の循環器領域の医学・医
療 ニュースをお届けしてまいります。会員のニーズに応え、今後もコンテンツ
を充実させていきたいと考えておりますので、皆様からのご意見・ご要望をいた
だけますと幸いです。

(社)日本循環器学会 
情報広報委員会
委員長 永井良三

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【1】 World Circulation News PLUS(Health Day News提供)

海外の循環器系ニュースの短報(和訳)をお届けします。
利用規約 http://www.j-circ.or.jp/jcsnl/terms.htm

▼「拡張性」心不全患者へのβ遮断薬使用は疑問

駆出率が保持されている心不全(HFpEF)患者は、運動中に血管拡張および心拍
出予備能が低下するが、これは全面的な拡張機能低下の結果ではないとする報告
が、「Circulation」11月6日オンライン版で発表された。この所見は、β遮断薬
の使用が「拡張性」心不全患者にとって必ずしも最良の治療でないことを示唆し
ている。

米ジョンズ・ホプキンス医学研究所(ボルチモア)のDavid A. Kass氏らは、HFp
EF患者17例と、左心室肥大や高血圧などを有するが心不全を来していない対照患
者19例を対象に、運動負荷試験を実施した。両群とも安静時には類似した心血管
機能を示したが、運動能の制限はHFpEF群で顕著であった。HFpEF群の平均運動持
続時間は180秒、最大酸素消費量は9.0mL/kg/minであったのに対し、対照群は45
5秒、14.4mL/kg/minであった。

「HFpEFの労作性症状には、心拡張機能障害だけでなく、心拍数や血管拡張予備
能などの要因も考慮した治療法の開発が望まれる」とKass氏らは述べている。
(HealthDay News11月6日)

Abstract:
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/CIRCULATIONAHA.106.632745v1
Full Text (subscription or payment may be required):
http://circ.ahajournals.org/cgi/reprint/CIRCULATIONAHA.106.632745v1

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▼スタチンは心不全患者の死亡率を低下させる

スタチン治療は、心不全患者の死亡率を低下させ、入院率の減少および心疾患の
既往の有無にかかわらずよりよい臨床的転帰をもたらすとの報告が、米国医師会
誌「JAMA」11月1日号に掲載された。 

米カイザーパーマネント(Kaiser Permanente)社北カリフォルニア(オークラ
ンド)のAlan S. Go氏らは、心不全患者におけるスタチンの臨床的転帰などの便
益効果を明らかにするために、成人慢性心不全患者24,598例を対象に、1996年か
ら2004年にかけての後ろ向き研究(propensity調整コホート研究)を実施した。
患者は脂質低下療法の適格者であったが、スタチンの治療歴はなかった。

期間中にスタチン治療を開始した患者群では、未施行の患者群と比べて、男性、
より若年、心疾患および危険因子を有する、共存症が少ないなどの傾向が認めら
れた。交絡因子その他を調整後、スタチン治療開始は単独で、死亡率の低下(ハ
ザード比、0.76)および心疾患関連の入院率の減少(同、0.79)をもたらし、さ
らに既知の心疾患既往の有無にかかわらず、有害な転帰の減少に寄与しているこ
とが明らかになった。

(著者の一部はアムジェン、ワイエス、ノバルティス社から資金提供を受けてい
る。)
(HealthDay News10月31日)

Abstract:
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/296/17/2105
Full Text (subscription or payment may be required):
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/296/17/2105

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▼マルチディテクターCTで急性冠症候群を鑑別

急性胸痛の症状を有する患者へのマルチディテクターCT(MDCT)の施行により、
救急室でのトリアージの精度向上につながるとの研究結果が、「Circulation」
10月30日オンライン版に発表された。

米ハーバード大学医学部(ボストン)のUdo Hoffmann氏らは、103例の救急患者
を対象に、入院前に64スライスのMDCT冠動脈造影を実施し、冠動脈でのアテロー
ム性プラークの存在と有意な狭窄の存在を評価した。

その後、103例のうち14例が急性冠症候群(ACS)と判明。有意な狭窄の不在(10
3例中73例)および有意でないアテローム性プラークの不在(103例中41例)は、
ACSから除外できることが判明した。急性冠症候群の従来の評価因子にプラーク
の因子を加えることで、より正確な初期トリアージが可能となるとしている。
(HealthDay News 10月30日)

Abstract:
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/CIRCULATIONAHA.106.634808v1
Full Text (subscription or payment may be required):
http://circ.ahajournals.org/cgi/reprint/CIRCULATIONAHA.106.634808v1

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●World Circulation News (WEB)
AHA、ACC、WHO、FDA、CDCの循環器領域関連のニュースヘッドラインを
学会ホームページでお届けしています。
http://www.j-circ.or.jp/cgi-bin/news/headline.cgi

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【2】 AED検討委員会から情報提供のお願い

 AEDは院外心停止例において電気ショックの必要性を診断し、それを音声で救
助者に伝えて救命を可能にする機器ですが、その診断の感度、特異度は100%とは
いえず、またそれをもとに下される指示も100%適切なものとは限りません。
 当委員会では、AED使用時にその診断に疑問を感じた経験をお持ちの先生方か
ら、その内容を(可能ならば心電図もあわせて)情報提供していただき、分析検
討を行いたいと考えています。ご提供いただいた情報は他の目的に使用せず、
またその取扱いには充分配慮致します。
 今後のAED普及啓蒙に役立てるため、情報提供のご協力を宜しくお願い致しま
す。

◎ご連絡先:日本循環器学会事務局 AED検討委員会係
 Email: meeting@j-circ.or.jp

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【3】循環器専門医「研修単位提出免除」および「保留制度」の廃止について

 専門医への社会的認知度の向上などに伴い、循環器専門医の認定更新において
も更なる厳正な制度運用により、その質的維持・向上を図ることが求められてい
ます。
 以上を踏まえ、当学会では2008年3月31日をもって下記の2制度を廃止するこ
とに決定致しました。

 (1)更新時点で65歳以上となる循環器専門医の、研修単位提出免除
 (2)保留制度

当件の詳細は、下記ページにてご案内しております。
http://www.j-circ.or.jp/information/senmoni/senmoni_kosin_annai.htm

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【4】第70回記念学術集会DVD-ROMのご案内

2006年3月24日〜26日に開催された学術集会(名古屋)での講演を収録。
人気の高いミート・ザ・エクスパートをはじめ、講演内容をスライドショー
形式でご覧いただけます。
なお、購入し視聴研修されると循環器専門医研修単位が3単位申告できます。

お申し込みは下記URLより。
http://www.j-circ.or.jp/form/kankoubutsu/kounyu.htm#meet_dvd

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【5】地方会案内

近日開催予定の地方会をご案内します。
 ・第202回関東甲信越:12月2日(土) 日本医科大学橘桜会館(文京区)
 ・第102回近畿:12月9日(土) ピアザ淡海(大津市)
 ・第89回四国:12月2日(土) 高松商工会議所(高松市)
 ・第101回九州:12月2日(土) アクロス福岡(福岡市)

各地方会の詳細は下記ページよりご確認下さい。
http://www.j-circ.or.jp/information/chihoukai/chihou_schedule.htm


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▼ご意見、ご感想はこちらのアドレスまでご連絡ください。
news-m@j-circ.or.jp

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日本循環器学会 JCS Newsletter
発行:(社)日本循環器学会
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