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   JCS Newsletter Vol.2 -- 2006.12.05 -- (社)日本循環器学会

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【1】World Circulation News PLUS
【2】評議員選挙に関するご案内
【3】ガイドライン(改訂版)公開のお知らせ
【4】第70回記念学術集会DVD-ROMのご案内(専門医3単位)
【5】地方会案内(開催案内、演題募集)
【6】ACLS講習会案内
【7】海外学会情報

〜〜ご案内〜〜
来年度には評議員選挙(2008年4月1日就任)が施行されますが、
候補者および投票者としての資格取得には、今年中の年会費完納が必要です。
詳しくは「評議員選挙に関するご案内」をご覧下さい。

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【1】 World Circulation News PLUS(Health Day News提供)

海外の循環器系ニュースの短報(和訳)をお届けします。
利用規約 http://www.j-circ.or.jp/jcsnl/terms.htm

▼慢性腎疾患患者での貧血正常化は便益性なし

貧血は慢性腎疾患患者における一般的な合併症だが、貧血の完全な正常化治療
は、有害作用のリスクを増大させるとの2つの研究が医学誌「New England
Journal of Medicine」11月16日号に掲載された。

米ブリンガム&ウイメンズ病院(ボストン)のAjay K. Singh 氏らは、慢性腎疾
患患者1,432例を対象に、ヘモグロビン至適値を715例は13.5g/dL、717例は11.3g
/dLとしてエポエチンアルファを投与。その結果、高ヘモグロビン値群では125例
のイベント発生が認められたにの対し、低ヘモグロビン値群では97例であった。

「ヘモグロビン至適値13.5g/dLの維持を目標とした治療は、11.3g/dLを目標とし
たものに比べ、リスクを増大させ、QOL(生活の質)の改善増進をもたらすもの
ではない」とAjay K. Singh 氏は述べている。

一方、フランス、Necker病院(パリ)のTilman B. Drueke氏らは、ステージ3, 4
の慢性腎疾患患者603例に対し、ヘモグロビン目標値を正常域の13-15g/dLに維持
する群とサブ正常域の10.5-11.5g/dLに維持する群に分け、エポエチンベータに
よる治療を実施。心血管イベントのリスクは、両群で同じであった。

3年間の試験期間で、正常域にヘモグロビンを維持した群では、透析の必要性が
有意に高かったが、一般的な健康および身体機能は有意に改善された。Drueke氏
は「慢性腎疾患患者における早期の貧血改善治療は、心血管イベントのリスクを
低減させない」と述べている。
(HealthDay News11月16日)

Abstract:
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/355/20/2085

Full Text (subscription or payment may be required):
http://content.nejm.org/cgi/content/full/355/20/2085

Abstract:
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/355/20/2071

Full Text (subscription or payment may be required):
http://content.nejm.org/cgi/content/full/355/20/2071


▼AHAレポート:心房性利尿ペプチドがMI後の心筋損傷を抑制−J-WIND試験

急性心不全治療薬として日本で使用されているヒト心房性ナトリウム利尿ペプチ
ド(hANP、カルペリチド)が、急性心筋梗塞(AMI)患者に使用した際に、梗塞
サイズを減少させ、左室駆出率(EF)を上昇させることが、シカゴで開催された
米国心臓協会(AHA)年次集会で報告された。

国立循環器病センター(吹田市)の北風政史氏らは、J-WIND試験結果を報告。同
試験では、ST上昇を来したAMI患者1,216例が、カルペリチド静注群とプラセボ
群、カリウムチャネル開口作用を有する抗狭心症薬ニコランジル静注群とプラセ
ボ群の2アームに無作為に割り付けられた。

カルペリタイド群では、梗塞サイズの14.7%の減少とEFの5.1%の増加が認めら
れるとともに、虚血再灌流障害、心臓死、心不全に起因する入院リスクの低減が
認められた。これらの結果は、ニコランジル群では認められなかった。ただし、
同薬は慢性期での経口投与により、EFの改善および血管再生術を要する冠動脈病
変の進展を低減させることが認められた。

北風氏は「これらの結果は、心臓発作の急性期治療戦略の変更を促すものであ
る」としている。
(HealthDay News11月15日)

Abstract:
http://scientificsessions.americanheart.org/portal/scientificsessions/ss/lbctnewsrelease20067


▼AHAレポート:新しい抗凝固療法システム−第I相試験で安全性確認される

機能RNA分子であるRNA アプタマーを変化させ、アンチドーテ作用を迅速に発揮
させる新しい抗凝固療法システムの初めての臨床試験結果が、シカゴで開催され
た米国心臓協会(AHA)年次集会で報告された。

米デューク大学(ノースカロライナ州)のRichard Becker氏らは、健常ボランテ
ィア85例を対象に、REG1呼ばれる抗凝固薬(IXa因子に結合するヌクレオチド、
RB006)とアンチドーテ(相補性ヌクレオチド、RB007)を併用した新しい抗凝固
療法システムを検討。被験者はRB006静注群とプラセボ群に無作為に割り付けら
れた。RB006用量の増量デザインは、15、30、60、90mgで、RB007は2:1の割合で3
時間後に投与された。

その結果、RB006 15mg投与群では、投与後15分の活性部分トロンボプラスチン時
間(APTT)が1.1倍増加、90mg投与群では2.9倍のAPTT増加を認めるなど、用量依
存性の高い効果を認めた。RB007の併用によりAPTTは、1-5分以内にベースライン
に戻った。治療との関連性は不明なものの、1例で一過性の脳症が認められた。

Becker氏は「本抗凝固療法システムは、ヘパリンの部分的置換療法として使用が
可能」と述べるとともに、「アプタマーは折りたたみが可能であり、ターゲット
に対し直接的に関与できるように形態を整えることができる」としている。現状
での薬剤プラットホームはIXa因子をターゲットとしているが、他のターゲット
を用いることにより、腫瘍や他の疾患での薬剤-アンチドーテシステムの有用
化が可能であるとしている。

研究報告は、AHA発行の「Circulation」11月13日オンライン版にも掲載された。
(HealthDay News 11月14日)

Abstract:
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/CIRCULATIONAHA.106.668434v1

Full Text (subscription or payment may be required):
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/CIRCULATIONAHA.106.668434v1

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●World Circulation News (WEB)
AHA、ACC、WHO、FDA、CDCの循環器領域関連のニュースヘッドラインを
学会ホームページでお届けしています。
http://www.j-circ.or.jp/cgi-bin/news/headline.cgi

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【2】 評議員選挙に関するご案内

 本学会評議員の任期満了に伴い、2008年4月1日から就任する評議員の選挙を
2007年度に施行します。被選挙資格者(候補者)および選挙資格者(投票者)
の資格取得のため、資格取得基準日である2006年12月31日(日)までに規定の
年会費納入を完了していただきますようお願い申し上げます。
 会費納入状況がご不明の場合は、学会事務局(admin@j-circ.or.jp)までお問
い合わせください。

※注意事項※
 2006年12月31日までに日本循環器学会の口座に年会費入金が完了していなけ
ればなりません。お送りしています払込用紙で、最寄りの郵便局にてお手続き
下さい。
 なお郵便局の年末営業日は12月28日(金)までとなっており、ATMのご利用や
一部地域では、振込みから口座への入金完了までに1週間程度かかる場合もあり
ます。余裕をもってお手続きいただきますようお願い致します.

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【3】ガイドライン(改訂版)公開のお知らせ

 以下の「循環器病の診断と治療に関するガイドライン(改訂版)」
を会員限定ホームページにて公開いたしました。

 ○心筋梗塞二次予防に関するガイドライン(改訂版)
 ○虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(改訂版)
 ○心房細動治療(薬物)ガイドライン(改訂版)

(URL) https://center.umin.ac.jp/oasis/jcs/supplement/index.htm

 会員限定ページでは、ガイドラインのバックナンバーも公開しています。
会員限定ホームページのご利用には、UMIN(大学病院医療情報ネットワーク)が
発行し、学会が許可したIDパスワードが必要です。IDパスワードがご不明の場
合は学会事務局までご照会ください。

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【4】第70回記念学術集会DVD-ROMのご案内

2006年3月24日〜26日に開催された学術集会(名古屋)での講演を収録。
人気の高いミート・ザ・エクスパートをはじめ、講演内容をスライドショー
形式でご覧いただけます。
なお、購入し視聴研修されると循環器専門医研修単位が3単位申告できます。

お申し込みは下記URLより。
http://www.j-circ.or.jp/form/kankoubutsu/kounyu.htm#meet_dvd

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【5】地方会案内

▼近日開催予定の地方会をご案内します。
・第102回近畿:12月9日(土) ピアザ淡海(大津市)

▼以下の地方会では現在、演題登録を受付けております。
・第103回近畿:2007年6月9日(土) 大阪国際交流センター(大阪市)

各地方会の詳細は下記ページよりご確認下さい。
http://www.j-circ.or.jp/information/chihoukai/chihou_schedule.htm

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【6】ACLS講習会案内

・第23回関東甲信越支部ACLS講習会 AHA ACLSプロバイダー・コース
開催日程:2007年1月20日(土)・21日(日)
開催場所:東京医科歯科大学
受講申込:12月8日(金)締切 ※BLSコースを修了した方のみ受講可能です

受講申し込み、その他開催情報は下記ページより
http://www.j-circ.or.jp/information/acls/acls.htm

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【7】海外学会情報

▼以下の海外学会参加で、循環器専門医研修単位をご申告いただけます。

・ACC.07
2007/3/24(Sat)-3/27(Tue)/New Orleans (USA)

・ESC Congress 2007
2007/9/1(Sat)-9/5(Wed)/Vienna (Austria)

・AHA Scientific Sessions 2007
2007/11/4(Sun)-11/7(Wed)/Orlando, Florida(USA)

・16th APCC - Taiwan 2007
2007/12/13(Thi)-12/16(Sun)/Taipei (Taiwan)

・World Congress of Cardiology 2008
2008/5/18(Sun) - 5/21(Wed)/Buenos Aires(Argentina)

海外学会情報は下記URLでご案内しております。
http://www.j-circ.or.jp/information/kaigaigakkai.htm

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▼JCS Newsletterのバックナンバーをこちらでご覧いただけます。
http://www.j-circ.or.jp/jcsnl/index.htm

▼ご意見、ご感想はこちらのアドレスまでご連絡ください。
news-m@j-circ.or.jp

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