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高齢者の術前ヘマトクリット値が非心臓手術の転帰に影響
HealthDay News 6月12日
高齢男性患者においては、たとえ軽度であっても術前貧血または多血症により、大きな非心臓手術の術後30日の死亡リスクおよび心疾患イベント発症リスクを増大させることが、米国医師会誌「JAMA」の6月13日号に報告された。
米国プロビデンス退役軍人病院とプロビデンス地域医療局(ロードアイランド州)のWen-Chih Wu氏らは、65歳以上の退役軍人31万311人のデータを対象に、後ろ向き研究を実施した。
その結果、適正ヘマトクリット値から1パーセンテージ・ポイント増減するごとに、術後30日死亡の1.6%の増大が認められた。また、術後30日死亡および心疾患罹病の調整リスクは、ヘマトクリット値が39%未満または51%を超えると上昇し始めていた。
添付論説の著者らはこの研究結果を、輸液、赤血球増加剤、鉄補給剤の使用などの介入を正当化するものと解釈しないよう注意を促している。「腎不全や癌に伴う貧血のある患者を扱う他の臨床領域において、十分な証拠のないまま赤血球増化剤を積極的に使用する方法を採用し、それが最良の介入にもかかわらずかえって有害転帰をもたらしている場合がある」と述べている。
血管形成術施行までの時間短縮プロトコルでリスクとコストを低減
HealthDay News 6月12日
心臓発作の患者の到着から血管形成術実施までの時間を短縮するプロトコルを導入した病院は、患者の入院日数、平均梗塞サイズ、医療コストを削減できるとする研究が、「Circulation: Journal of the American Heart Association」6月11日号に掲載された。
米Indiana Heart Physicians/St. Francis Heart Center(インディアナ州インディアナポリス)のUmesh N. Khot氏らは、同病院でST上昇型心筋梗塞の患者が緊急経皮的介入を受けるまでの時間を、新プロトコルの導入前(86人)と導入後(60人)で比較した。この新プロトコルの柱は、救急部門の医師が直接カテーテルラボに起動指示をすることと、院内移送チームが患者を迅速にカテーテルラボに移すことである。
新プロトコル導入後は、血管形成術実施までの時間の全体的な中央値が113.5分から75.5分に短縮されていた。現行ガイドラインが推奨する90分以内に治療された患者の割合は、28%から71%へと急上昇。平均梗塞サイズ、平均入院日数(5日から3日)、入院1回あたりの病院側全コスト(2万6,826ドルから1万8,280ドル)もそれぞれ大幅に減少した。
「これらの結果は、到着時間帯、救急車の利用の有無、患者の臨床的特徴などには無関係だった。これまで順次進行の直列処理をしていたものを、救急部門の医師によるカテーテルラボの起動指示、患者の物理的な移送、ラボの初期準備、心臓病科の医師による評価を同時に進める並列処理に変えたプロトコルの導入は成功だった」とKhot氏は述べている。
FDAがAvandiaとアクトスに最も厳しい警告表示を要請
HealthDay News 6月7日
米国食品医薬品局(FDA)は、一部患者に潜在的なうっ血性心不全リスクがあることを示す「ブラックボックス」の警告を、インスリン抵抗性改善薬Avandiaとアクトスに表示するよう5月23日に要請していたが、それは6月6日まで公表されなかった。
Avandiaの安全性に関する研究報告の発表を受けて6月6日に招集された下院監査政府改革委員会で、FDA長官Andrew von Eschenbach氏は、同局がグラクソ・スミスクライン社のAvandiaと武田薬品工業社のアクトスに、既存の警告ではこれまで重度の心不全患者に処方されてきたため、今後はより目立つ警告を表示するよう要請した、と証言した。
Eschenbach氏の証言によると、同局が2社へ最も厳しい警告の表示要請をしたのは5月23日で、Avandia(一般名:rosiglitazone)が心筋梗塞リスクを43%も増大させているとする論文が「New England Journal of Medicine」に掲載された2日後のことである。
この論文は米クリーブランド・クリニックの心臓内科医Steven Nissen氏によるもので、同氏は現在禁止されている関節炎薬(COX-2阻害薬)Vioxxによる心臓リスクを初めて警告した人物である。FDAは同論文が掲載された5月21日のうちに安全性に対する警告を発表したが、その時点ではさらなる分析が必要だとして2社への厳しい警告表示の要請は控えていた。
5月21日のテレビ会議でFDAの薬物評価Ⅱ事務局長Robert J. Meyer氏は、「rosiglitazoneの潜在的なリスクは認識している」と述べている。しかし同氏は、「我々は現時点では最終的な結論に達していない。規制側の視点から結論を出すには一貫した十分なデータがあるとは思えないため、行動を起こす準備ができていない」と付け加えていた。
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2CJ Vol.71 Supplement A (Arrhythmias 2007 Overview) のご案内
機関誌"Circulation Journal"では、特定分野のエキスパートに執筆いただいた論文をまとめた「特集号」を発刊します。
その第一弾として、海外から3編のSpecial Contribution、ならびに国内から13編のInvited Reviewが掲載された"Circulation Journal Vol. 71 Supplement A (Arrhythmias 2007 Overview)" が6月25日に発刊されました。近日中に会員の皆様にお届けします。

3「標榜診療科名見直しに関する要望書」を提出いたしました
日本循環器学会はこのたび、「標榜診療科名見直しに関する要望書(平成19年6月6日付)」を、本会を含めた全14学会の理事長連名で厚生労働省に提出しました。
→要望書の内容はこちら
4「勤務医師賠償責任保険」の更新・加入は7月31日締切りです
標記の件について、申請書類を6月中旬に送付いたしました。お手続き忘れのないようご注意ください! 詳細は下記までお問い合わせください。
- <取扱代理店> 株式会社カイトー
- 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-2-6 西新宿K-1ビル
- TEL:03(3369)8811 FAX:03(3369)3120 E-mail:ibai@kaito.co.jp
→日本循環器学会団体保険制度のご案内はこちら
5JCS-ITC 各支部 AHA ACLSプロバイダーコースのご案内
日本循環器学会は米国心臓協会(AHA)と契約して国際トレーニングセンター(ITC)となり、心肺蘇生法委員会の中の教育部門としてECC(緊急心血管治療)プログラムを独自に推進させていく事となりました。
現在、以下のAHA ACLSプロバイダーコースをご案内中です。積極的に参加いただき、地域での「救命の連鎖」確立を推進していただける方を募集します。
- JCS-ITC 第1回九州支部 AHA ACLSプロバイダーコース(開催:2007/9/1-2)
- JCS-ITC 第1回関東甲信越支部 AHA ACLSプロバイダーコース(開催:2007/8/25-26)
- JCS-ITC 第1回東海支部・北陸支部合同 AHA ACLSプロバイダーコース(開催:2007/8/25-26)
→ご案内・受講申し込みはこちら
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