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炎症性蛋白値が健常者の心疾患の予測因子に
HealthDay News 7月5日
心血管系に損傷を与える炎症性蛋白である血清ミエロペルオキシダーゼ(MPO)の高値は、健常者の冠動脈疾患(CAD)発症の予測因子となるとの研究結果が、米国心臓学会誌「Journal of the American College of Cardiology」7月10日号に発表された。
オランダ、アカデミック・メディカルセンター(アムステルダム)のMatthijs Boekholdt氏らは、8年間の症例対照研究において、外見上健常者で期間中にCADを発症した症例1,138人と年齢、性差などをマッチングさせた未発症の2,237人を対照として比較検討した。
その結果、CAD症例群は対照群よりもMPO値が有意に高いことが認められた。また、MPO濃度の上位1/4(75)パーセンタイル値は、下位1/4(25)パーセンタイル値と比較してCAD発症リスクが高いことも判明した(オッズ比1.49)。伝統的なリスクファクター調整後も、上位1/4パーセンタイル値は依然として高リスクであった(オッズ比1.36)。低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールまたは、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール、C反応性蛋白(CRP)の値が正常域内の被験者においても、リスクはやはり有意に高かった。
「MPOやCRPのような炎症マーカーの上昇とその相互作用が、数年後のCAD発症に先立って現れることが判明した。今後は抗炎症戦略の潜在的有効性を検証する必要がある」と著者らは結論づけている。
リポ多糖結合蛋白が男性の冠動脈疾患のマーカーに
HealthDay News 7月3日
病原体の免疫認識に関与する蛋白であるリポ多糖結合蛋白(LBP)が、男性の冠動脈疾患(CAD)の独立した予測因子になるとする研究結果が、米国心臓学会誌「Journal of the American College of Cardiology」7月3日号に発表された。
スイス、ベルン大学病院のPhilipp M. Lepper氏らは、選択的冠動脈造影法を施行した男性247人を対象に、LBPがCADのバイオマーカーとなるか否かを検討。CADのない線維筋痛および敗血症患者40人を対照群とした。
その結果、CADが確証された172例(69.6%)では、確証されなかった症例に比べ血清LBPが有意に高く(p = 0.002)、年齢やBMIなどの変数を調整した後でも、CVDの有意な独立した予測因子となることが判明した。またCVD症例での血清LBPは、敗血症患者と線維筋痛・非CVD患者の中間(intermediate)値であった。
「LBPは男性CVDの新しいマーカーとなりうる。本研究結果は、CVDに対する先天的免疫機序の潜在的な重要性を裏づけるものである」とLepper氏らは結論づけている。
ダークチョコレート摂取で血圧が低下
HealthDay News 7月5日
ダークチョコレートの少量日常摂取が、至適血圧を超える患者に便益があるとする無作為化試験の結果が、米国医師会誌「JAMA」7月4日号に掲載された。
ドイツ、ケルン大学病院のDirk Taubert氏らは、未治療で正常高値の高血圧前症(prehypertension)またはステージ1高血圧を有する56〜73歳の被験者44人を、ポリフェノール30mg含有のダークチョコレート6.3gを18週間連日摂取する群もしくはポリフェノールを含まないホワイトチョコレートを同量同頻度摂取する群に無作為に割り付けた。
その結果、ダークチョコレート群では平均収縮期血圧が2.9mm Hg、平均拡張期血圧が1.9mmHgそれぞれ低下し、高血圧有病率も86%から68%に減少した。同時に、S-ニトロソグルタチオン(血管拡張性一酸化窒素:NO)の持続的な増加と血漿中のココア・フェノール出現が認められた。一方、ホワイトチョコレート群では血圧および血漿中のバイオマーカーに対する影響は認められなかった。
「フラボノールが豊富なカカオを少量、食生活に取り入れることは長期的持続(adhere)が容易な食事改善であり、至適血圧を超える患者の有望な降圧手段となりうる。今後は他の集団における効果および長期的有効性を評価する研究が求められる」と著者らは結論づけている。
研究は、ケルン大学病院の資金提供で行われた。
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2JCS2008 〜 第72回日本循環器学会学術集会 演題募集のご案内
下記の予定で、第72回日本循環器学会学術集会の演題を募集します。多数のご応募をお待ち申し上げます。
■一般演題
演題受付期間(新規登録): 2007年8月1日(水)午前9時 〜 10月9日(火) 正午
→演題応募要領はこちら
国内演者は、演題応募の時点で共同演者を含む全員が本学会会員であり、かつ2007年度会費納入者であることが必要です(入会に関するご案内はこちら)。
■プレナリーセッション・シンポジウム
演題受付期間(新規登録): 2007年8月1日(水)午前9時 〜 8月29日(水)正午
→演題応募要領はこちら
- 今回のプレナリーセッション、シンポジウムはすべて「公募あり」となります。応募される方は、本文(タイトル、著者名、所属機関名を除く) 260 words 以内の英文抄録を登録してください。
- 演題応募の時点で共同演者を含む全員が本学会会員であり、かつ2007年度会費納入者であることが必要です(入会に関するご案内はこちら)。
■コメディカルセッション
第72回日本循環器学会総会・学術集会では、コメディカルの方を対象としたセッションを会期中に3日間行います。 コメディカルスタッフ(看護師、薬剤師、技師、栄養士、医療療法士、救急救命士、医療ソーシャルワーカー、その他)であれば、日本循環器学会の会員でなくても演題応募、発表、参加ができます。
- シンポジウム 2007年8月1日(水) 午前9時 〜 10月 9日(火)正午
- 一般演題 2007年8月1日(水) 午前9時 〜 10月23日(火)正午
→演題応募要領はこちら
コメディカルスタッフの皆様方に奮ってご応募いただけますよう、ご案内申しあげます。
3女性研究者を対象とした学会賞を新設しました
第71回日本循環器学会学術集会(会長:横山光宏)を記念し、循環器の分野で活躍する女性研究者の支援となることを願って寄付された基金をもとに、「女性研究者奨励賞」を新設しました。 女性研究者の皆様のご応募をお待ちしております。
→応募要領はこちら
締切り:2007年 9月28日(金)必着
4WCC2008演題募集のご案内
World Congress of Cardiology2008(2008/5/18-21, BuenosAires, Argentina)では、現在演題を受付中です。
こちらからご応募ください。
※演題締切:9月17日
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発行:(社)日本循環器学会 http://www.j-circ.or.jp/
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