JCS Newsletter

 

Vol.57 (2009.5.12)

  • World Circulation News PLUS

  • 第5回循環器専門医を志す研修医のための卒後セミナーのご案内

  • 循環器専門医の医師像が決定いたしました


毎年ご好評をいただいている「循環器専門医を志す研修医のための卒後セミナー」を今年も開催いたします。

 

JCS2010


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 World Circulation News PLUS(Health Day News 提供)


海外の循環器系ニュースの短報(和訳)をお届けします。(利用規約

心血管MRIは心筋炎評価の重要なツールに

HealthDay News 4月21日

心筋炎に対する心血管MRI(CMR)を用いた適切な評価が、「American College of Cardiology」4月28日号における白書(white paper)の主題となっている。

カナダ、リビンLibin心血管研究所(アルバータ州)のMatthias G. Friedrich氏らは、心筋炎に対し、病歴、身体所見、心電図、血液検査のいずれにおいても限界があり、診断精度は低くなり、生検は軽症例では適当ではないと指摘している。

CMRは、心筋炎が疑われる症例における評価法として一般的な手段となっている。CMR検査の指示基準は、心筋炎と考えられる症状の新規発現または持続、最近または進行中の心筋傷害、および原因としてウイルスが疑われるケースであると著者らは記している。CMR上の所見には、浮腫、充血、毛細管漏出、左室機能低下、および心嚢液貯留がある。CMR研究のリポートでは、左室容積および左室機能、すべての炎症活性マーカー、心筋傷害について論議し、フォローアップを考慮すべきとしている。

著者らは「CMRの方法論は急速に変革している。多くの興味ある進展がみられ、心筋炎に対する応用の有用性が期待される。ハードウエアおよびコイルテクノロジーの改善に伴い、画像の質、その結果としての診断能は向上している。しかし、より重要なのは、ガドリニウムwash-out時間の分析、T1マッピング、T2マッピング、定量化画像、および画像診断基準と血清マーカーの併用により、CMRの有用性が一層向上する可能性である」と結論している。

Friedrich氏は、Circle Cardiovascular Imaging、Siemens Medical Solutions Canada社との財務関係を申告している。また、Berlex Canada社は「心筋炎における心血管MRIコンセンサスグループ(Consensus Group on Cardiovascular Magnetic Resonance in Myocarditis)会議」の支援を行っている。

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バルサルタンは心房細動の再発を減少させず

HealthDay News 4月15日

アンジオテンシン-II受容体拮抗薬(ARB)バルサルタンの使用は、基礎心疾患、糖尿病、または左房拡大を有する患者における心房細動再発を低下させなかったとする研究論文が、「New England Journal of Medicine」4月16日号に掲載された。

イタリア、サンタ・キアーラSanta Chiara病院(トレント)のMarcello Disertori氏は、最近に心房細動を生じた患者1,442人のデータを分析した。対象患者は無作為にプラセボまたはバルサルタン投与に割り付けられ、バルサルタン服用量は1カ月の期間中に320mg/日まで増量、以後1年目までその用量を維持した。主要エンドポイント(評価項目)は、心房細動の初回再発までの期間、および年間複数回に及ぶ再発を来す患者の割合とした。患者が従来服用していたACE阻害薬、アミオダロンおよびβ遮断薬は服薬継続可とした。

実薬群とプラセボ群の間で再発率に有意差はなく(それぞれ51.4% vs. 52.1%)、複数回に及ぶ心房細動再発を生じた患者についても同じく有意差はなかった(26.9% vs. 27.9%)。

著者らは「心房細動発生が主要エンドポイントとなっていない多くの大規模臨床研究の一つの欠点は、心房細動再発の検出方法にある。そのような研究では、検出方法はしばしば予定された受診時に施行される心電図検査の結果や患者の愁訴に依存している。その結果、それらの研究では、通信機器を利用した頻回の心電図モニタリングを採用した我々のような研究に比し、心房細動検出率は低くなる傾向にある」と述べている。

ノバルティス社は本研究への資金提供を行っており、共著者の数人は同社との財務関係を申告している。2人の共著者は、心房細動におけるパルサルタン使用についての特許適用申請リストに掲載されている。

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ステントのon-label, off-label 使用とも心筋梗塞、死亡発生率は同じ

HealthDay News 4月15日

ベアメタルステントおよび薬剤溶出性ステントのon-label (認可適用内)と off-label(認可適用外)使用のいずれにおいても、心筋梗塞、死亡の発生率は一連の臨床適用に対して同様との研究論文が、「Journal of the American College of Cardiology」4月21日号に掲載された。

スウェーデン、カルマルKalmar郡病院(カルマル)のJorg Carlsson氏らは、米国食品医薬品局(FDA)が認可したon-label使用により冠動脈ステント留置を受けた患者17,189人(ペアメタルステント10,431人、薬剤溶出性ステント6,767人)およびoff-label使用でステント留置を受けた患者16,355人(同9,907人、6,448人)について転帰を調査した。

1〜5年の経過追跡の後、心筋梗塞および死亡の発生率は、薬剤溶出性ステントおよびベアメタルステントのon-labelおよびoff-label使用について同じであった(調整ハザード比はそれぞれ1.02、0.95)。薬剤溶出性ステントのoff-label使用は、一連の臨床病態に対し、死亡、心筋梗塞を合わせた発生率はベアメタルステントと同様のリスクであった。

Carlsson氏らは「現在のスウェーデンの日常臨床においては、薬剤溶出性ステントのon-label、off-label使用のいずれも、ベアメタルステント使用に比し転帰不良となることはない」と結論している。

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  第5回循環器専門医を志す研修医のための卒後セミナーのご案内


研修医の先生方へのご案内を宜しくお願いいたします。
日時:2009年7月12日(日)10:00-16:00
会場:大手町サンケイプラザ 3F301号室
東京都千代田区大手町1-7-2

→プログラム、申込みフォーム等はこちら


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  循環器専門医の医師像が決定しました


専門医制度委員会、理事会、2009年3月20日の評議員会の審議を経て循環器専門医の医師像が決定いたしました。
医療関係者だけでなく、一般市民の方々にも「循環器専門医とは?」を分かりやすく簡潔に説明できる医師像といたしました。HPでも公開中です。

→専門医医師像はこちら



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