Elevated Arterial Stiffness and Diastolic Dysfunction in Subclinical Hypothyroidism (Circ J 2014; 78: 1494-1500)

編集長のコメント:
心臓の拡張障害は動脈の硬度の増加に関連することが知られていますが,効果的な治療法の開発が待たれています。本研究は,潜在性の甲状腺機能低下症がその機序に関与していることを明らかにした点で臨床的意義があります。
出典元:Medical Tribune(2014年6月26日号34P)

著者の横顔:
所属先:兵庫医科大学循環器内科
氏名 :正木 充氏
 正木氏は,1999年に兵庫医科大学を卒業。研修医のころから非侵襲的で簡便な心臓超音波検査に大きな魅力を感じていた。
 同氏は2010年から同大学病院に勤務し,心臓超音波画像診断のスペシャリストである増山理教授から指導を受け,循環器内科で診療する一方,小柴賢洋教授の下で臨床検査に携わってきたことが,今回のCAVIに関する研究成果につながったという。
 動脈の硬さの評価法として従来PWVが主流で,わが国で開発されたCAVIの有用性に関するデータは限られている。こうした中,医師主導の多施設共同観察研究である「心血管イベント予知因子としてのCAVIに関する前向き研究」(CAVI-J,研究代表:医療法人財団健康院理事長・折茂肇氏,事務局代表:岡山大学循環器内科・三好亨氏)がスタートし,正木氏も参加している。CAVI-Jでは,2型糖尿病やメタボリックシンドロームなどの患者を2014年から5年間の予定で追跡し,CAVIの動脈硬化性心血管疾患診療指標としての有用性を検証するという。
 同氏は「潜在性甲状腺機能低下症患者におけるCAVIの長期的な推移や心血管イベント予測能を研究することで,動脈硬化や早期の左室拡張障害の治療につながる可能性がある。長期の観察が必要だが,今後も取り組んでいきたい」と述べている。
出典元:Medical Tribune(2014年6月26日号34P)