AED検討委員会から情報提供のお願い


委員長 三田村秀雄

 AEDは院外心停止例において電気ショックの必要性を診断し、それを音声で救助者に伝えて救命を可能にする機器ですが、その診断の感度、特異度は100%とはいえず、またそれをもとに下される電気ショックの指示、あるいは不要とのメッセージも100%適切なものとは限りません。
そこで本委員会では、AEDを使用した際に、その診断に疑問を感じた経験をお持ちの先生方から、その内容を(可能ならば心電図もあわせて)学会事務局あてに情報提供していただき、分析検討を行いたいと考えています。なお本情報はこの目的のためだけに利用させていただき、個人情報として取り扱いに配慮いたします。
 今後の普及啓発に役立てるために、情報提供のご協力をよろしくお願いいたします。

ご連絡先 AED検討委員会 係
Email: itc@j-circ.or.jp
FAX: 075-213-1675

AED(自動体外式除細動器)についてのQ&A

 (目次)
 →まず初めに
 →使うとどうなるの?
 →どうやって使うの?
 →危険性は?
 →AEDを購入しようか迷っているのだけど
 →講習は必須なの?
 →使って訴えられる心配は?


まず初めに

●AEDって何?
Automated External Defibrillatorの頭文字をとったもので、日本語訳は自動体外式除細動器です。心室細動という不整脈が原因で心臓が止まったときに、元のように拍動を再開させるために、この器械を使って心臓に電気ショックを加えます。裸の胸の上から電気ショックを加えるので体外式と呼びます。自動というのは、器械が心臓の状態を自動的に診断し、電気ショックが必要と判断したら、そのことを音声で救助者に伝える仕組みになっている、という意味です。電気ショックを実際に加えるには音声に従って最後に救助者がボタンを押す必要があり、音声ガイド付き、押しボタン式心臓救命装置ともいえます。

●どんなときに使うの?
心臓が止まったときに使います。ですが心臓が止まっているかどうかがわからないときでも、意識がなく、呼吸もしていなければ使うべきです。つまりAEDは治療の器械である前に診断の器械でもあります。ただ同じ心停止でも心臓が微動もしない状況では役立ちません。心臓が小刻みに震えた状態になる心室細動とよばれる不整脈のときのみ、それを治すことができます。両者の違いは器械にしかわかりません。大事なポイントは人が倒れるのを目撃したら、転んだ、気を失った、などと考えずに、心臓が止まったのかもしれない、とまず疑うことです。AEDがそばになければ誰かに持ってきてもらいます。119番通報も忘れないでください。


使うとどうなるの?

●使わなければ助けられないの?
心臓に原因があって起こる突然死の大半が心室細動と呼ばれる不整脈によって生じます。この不整脈が発生している場合にはいくら医者や救急隊員がいても、器械がなければ助けられません。反対にAEDさえあれば、医者が1人もいなくても、目撃した市民がそれを使って助けられることがあります。

●使えば必ず助けられるの?
必ず、というわけではありません。救命に成功するか否かは時間との勝負になります。心室細動による心停止の場合、電気ショックが1分遅れる毎におよそ10%ずつ救命できる確率が減っていきます。助けるには倒れてから3分以内の電気ショックを目指すことが勧められます。心室細動以外の不整脈や心臓以外の原因による心停止(血液の流れが止まった状態)の場合には電気ショックは全く効果がありません。

●心停止でない人に使うとどうなるの?
意識、呼吸、体動のいずれかがあれば心停止ではありません。当然、電気ショックの必要がないので、もし電極を貼っても、そのように音声で教えてくれます。万一、間違えて通電ボタンを押しても作動しないようになっています。


どうやって使うの?

●本当に簡単に使えるの?
使い方を予め習っておくに越したことはありませんが、AEDは初めて触った人でもマニュアル無しに使うことができるように設計されています。自動血圧計の操作と同程度の難しさなので、小学生からお年寄りまで男女を問わず、力のない人でも扱うことができます。診断とか充電などはほとんど器械のコンピューターが自動的に行ってくれますが、電極パッドを貼るのと電源や通電用のボタンなどを押すところは救助者が行わなければなりません。それぞれの処置は音声で指示してくれるので、言われたとおりにするだけです。音声が指示しないのに万一ボタンを押したとしても作動しないので心配ありません。電極パッドの貼り場所はその収納パッケージに絵で図示してあるのでその通りにします。ただし胸の服の上からではなく、裸にして、皮膚の上に丁寧に貼る必要があります。

●AEDを使うときにはどんな注意が必要?
1. まず意識と呼吸がないことを確認します。
2. 使用する前に119番通報することを忘れずに。
3. 電極パッドを貼る胸が裸になっていることを確認します。さらに濡れていない(上述)、貼り薬がない(あれば取り外す)、金属や(ペースメーカーなどの)硬い出っ張りがない(あれば2.5cm以上離す)ことなどを確認します。胸毛が多い場合にはカミソリがあれば剃ることも有益です。
4. 2つの電極パッドは接触したり重なったりしないように貼ります。
5. 通電ボタンを押す直前に誰も心停止者に触っていないことを確認します。
6. 救急隊員が到着するまで電極パッドをはがさないでおきます。

●電気ショックの必要がない、と言われたらどうするの?
電気ショックの必要がない、と言われても安心してよいわけではありません。このメッセージは倒れた人に心室細動という不整脈が見られていないことを意味するだけです。不整脈が治って少しずつ回復してくる可能性もありますが、心臓が全く動いていない可能性や、心臓が動いていても力が弱すぎて血液を送り出せないでいる可能性もあります。咳や体動があれば血液の循環があると考えられますが、それがなければ心臓マッサージを、正常な呼吸がなければ人工呼吸もできれば行うことが望まれます。最初に必要なくても、途中で電気ショックが必要になる可能性もあるので、電極パッドは救急隊員が到着するまではがさないでおくことが重要です。


危険性は?

●使う側に危険はないの?
基本的に安全な器械ですが、電気ショックを加える瞬間に、倒れた人の体に触れていると電流が流れてビリっと感じることがあります。これはボタンを押す人だけでなく、まわりにいる人についてもいえることです。また硝酸薬という心臓の薬が含まれたアルミ箔入りの貼り薬の上に電極を貼った場合に、軽い火傷を起こす可能性があります。(前胸部の貼り薬は電極を貼る前にはがすべきですが、普段からなるべく電極の邪魔にならない場所、例えば背中や腹、腕などに貼ることが勧められます)
これまでに救助者が重篤な被害にあったとする報告はありません。米国で2万人規模の市民有志を募って行われたPADと呼ばれる大規模試験でも、問題となるような事故はありませんでした。

●濡れている場所で使って大丈夫?
心停止者が水につかっている場合にはまず引き上げます。胸が濡れているようならばその部分をタオルなどで素早く拭き取ってから電極パッドを貼る必要があります。ですが背中が水たまりに浸っている場合や、雪の上にある場合も、前胸部が乾いていれば電気ショックは可能です。

●AEDを使ってかえって相手を悪化させてしまう心配は?
心停止で電気ショックが必要な場合には、使わなければほぼ間違いなく死亡してしまいます。ということは、使って助かることはあっても、状態を悪化させることはありません。

●子供にAEDを使っても大丈夫?
現在、日本で市販されている機種はほとんどが8歳以上あるいは体重25kg以上の心停止者用に設計されています。子供では大人ほど心室細動の頻度は多くないものの、決して起こらないわけではなく、その場合には電気ショックが不可欠です。一部の機種では1歳以上8歳未満の小児を対象とした小さい電極パッドも用意され、そのときだけ成人用の電極パッドと取り替えて使用することを勧めています。そのような小児用パッドがないときには、やむを得ない処置として成人用パッドを代用します。但し、その際には2つの電極パッドが互いに接触したり重なったりしないようにする注意が必要です。どうしても重なる場合には、胸部と背中に貼り付けても構いません。


AEDを購入しようか迷っているのだけど

●AEDは誰でも買えるの?どこで買えるの?
AEDは誰でも購入できます。AEDの販売は規定の講習を修了して高度管理医療機器等販売(賃貸)許可を得た販売店でのみ可能です。一般市民の方が購入をご希望の場合には、インターネットで調べるか、医者、あるいは講習会の講師などに相談してみることをお勧めします。リース契約を扱っている業者もあります。

●AEDはどんな施設に配備すべきなの?
心停止が発生しやすいと想定される場所(医院、空港、駅、スポーツ施設など)、人が密集する場所(イベント会場、ホテル、デパートなど)、過去5年間に1例以上心停止が発生している場所、救急車へのアクセスが悪い場所(旅客機、客船、列車など)、心臓病患者のいる場所(学校、職場、住居など)などが一般に勧められます。

●施設内に何台AEDを配備すべきなの?
狭い場所ならば1台あれば十分ですが、広い場所では複数のAEDを設置する必要があります。救命を成功させるために3分以内に使うことが望まれますが、それには、1分で取りに行き、1分で戻り、1分で準備して使う必要があります。つまり急いで1分の距離に必ず1台あることが望ましいことになります。配備した場所には基本標識による表示を遠くから見やすい位置に掲示し、複数のAEDを配備した場合には施設内のどこにあるかを示した地図を作製し、それを見やすい場所に掲示すると便利です。

●AEDの点検は?使用後にはどうするの?
点検は毎日、毎週、毎月、基本的に器械が自動的に行ってくれますが、電池の寿命やパッド電極の寿命などについては知っておく必要があります。また実際にAEDを使用した場合には、パッド電極は使い捨てですが、電池の残量については使用後に業者に確認してもらう必要があります。心電図や音声などのメモリー機能がついている機種では使用後に(除細動が成功しようとしまいと)医師による確認のため、記録を提出していただくことにご協力下さい。
なおAED保管場所にはできるだけ予備の電極1組と人工呼吸用具と救護用手袋2組を用意しておくことが勧められています。


講習は必須なの?

●講習は受けなければいけないの?
一般市民は特に講習を受けていなくてもAEDを使用して全く構いません。その一方で、仕事の内容や性格から、繰り返し救命にあたる可能性がある人は220分の講習が要求されています。具体的には救急救命士以外の救急隊員、消防隊員、ライフガードなどが受講を求められる典型とされます。なおこのような講習とは別に、施設などでは心停止発生を想定した防災訓練同様の訓練を日頃から行っておくことが望まれます。

●どこで講習を受けられるの?
一般市民でも希望すれば日赤や消防署などが主催する180分の講習を受講できます。ほかにも学会や医師会、NPO団体などが講習会を開催することがあります。


使って訴えられる心配は?

●AEDを使って法律に触れることはないの?AEDを使って助からなかったときに訴えられることはないの?
救命のためであれば、AEDは誰が使っても構いません。子供でもお年寄りでも使っていけない、という法律はありませんし、医師法違反にもなりません。
もし救命が不成功に終わったり、重篤な後遺症が残ったりしても、救助者がその責任を問われることはありません。民法の「緊急事務管理」に係わる規定によって免責されることが明言されているので心配いりません。


以上
▲ページトップへ