急性心筋梗塞に対する治療の現状とその効果の実態調査

急性心筋梗塞(AMI)は生命に関わる疾患であり、その治療法・適応は予後に直結します。AMIに対する緊急カテーテル冠動脈形成術(PCI)の導入は、従来の治療と比較して急性期における予後を改善することに寄与しましたが、これによる慢性心不全症例の増多は大きな課題です。また、長期における生命予後といったハードエンドポイントに関してはある程度の限界が示されています。このことから、AMIに対する新しい治療法としての再生医療等の適応が模索されていますが、現状の治療内容及びその限界についての本邦における詳細な検討はありません。Primary-PCI成功後の補完的療法としての再生医療の位置づけを考えると、本邦における現状のprimary-PCIとその成功についてどのような実態であるのかは明らかにしておくべき課題です。このような背景から、本邦における現状のAMI診療と主治療であるPCIの実態を明らかにすることが本研究の目的です。

本研究は、本邦における急性心筋梗塞(AMI)に対する初期対応・治療に関して、それぞれの施設方針としてのばらつきを検討することと、症例登録によって個々のAMI症例に対する治療について詳細に検討する予定です。施設調査は、#1「急性心筋梗塞に対する初期対応及び治療に対する施設調査」という研究題目とし、調査期間は、平成23年1月1日から12月31日の1年間としています。この調査票には病院の規模や初期対応に関連する部署についての質問なども設けており、初期対応が重要とされるAMIの実際の救急対応などについても解析する予定です。症例登録 #2「Primary-PCIによる治療の現状とその効果の実態調査」に関しては、実際の治療手技に重点を置いた後ろ向き研究です。多施設で行うこのような登録研究では、ショック症例など単施設ごとでは症例数が少なく、治療に一定の指針がないような病態に対する至適な治療法の模索が行いえることや、多数例の画像診断解析が可能となります。本研究のフィルムは、画像解析専門のコアラボで、brush gradeやTIMI-frame count及びQCAの計測を行う予定です。また、冠動脈イメージングに関する副次解析の5つのグループを設立しています。

本登録研究は、平成26年3月31日までの連続症例の登録が条件となりますがAMIの疫学研究のみならず、治療法やその機序を解明すべく副次研究が可能なデータベースです。本邦を縦断する多くの施設による日本独自のデータを発信できる研究班として、先生方のご参加をお待ちしております。

ご興味のある御施設は、下記にご連絡ください。資料をお送りさせて頂きます。

主任研究者:石原 正治 研究事務局:小谷 順一
国立循環器病研究センター 副院長 小川 久雄
お問い合わせ:NCVC-AMI研究事務局
E-mail: mhiromi@hsp.ncvc.go.jp