2009年11月24日 | ||||||||||||||||
AHA心肺蘇生法教育コース開催の目的と受講料の設定について |
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開催の背景 「心停止を予防し、蘇生率を改善させ、その後遺障害を軽減すること」という使命を達成するために、日本循環器学会循環器救急医療委員会では、循環器救急医療に関わるサイエンス(研究)・トレーニング(教育)・プラクティス(臨床)の連携が重要と捉えています。本委員会では、特に教育に関しては、JCSと長年のパートナーである米国心臓協会(American Heart Association : AHA)の緊急心血管治療(Emergency Cardiovascular Care : ECC)プログラムを本学会の心肺蘇生法教育に取り入れました。AHA ECCプログラムは、1960年より開始され現在では全米および世界100カ国以上で展開され事実上の国際標準となっている心肺蘇生に関するトレーニングプログラムです。救命の成否はBLSの質にあるというエビデンスから、全年齢層への一次救命処置(BLS)1日コースを基礎とし、その後に二次救命処置(ACLS)を受講していただくことにしております。ACLSの内容には心停止のみならず、急性冠症候群や脳卒中への対応、心停止前後への治療まで含まれるため、2日間を要します。これらBLSとACLSとを合わせますと、まさに心血管救急救命処置として、循環器医がそのリーダーとなることが相応しい内容となっています。 循環器専門医は基本的な能力としてAHA ACLSを習得していることが必要であると判断し、専門医資格認定試験の受験資格要件とすることを関係委員会において検討し、理事会決定いたしました。これを受けて2007年3月に本学会とAHAは、国際トレーニングセンター(International Training Center : ITC)を設立する契約を交わし、その運営にあたるITC運営小委員会を設けAHA ECCプログラムを提供していくことになりました。 受講内容と受講費について AHA BLS/ACLS コースを指導するインストラクターは所定のインストラクター養成コースを経て、質の高い指導ができるよう研鑚を積んでいます。そのうえでAHAや日本循環器学会ITCの主旨に賛同してボランティア参加をいただいています。 受講に関する費用について、日本循環器学会はAHAにコース開催に関するロイヤリティなどは一切支払っておらず、受講料はコース開催の必要経費に充てられています。その経費は、施設使用費・トレーニング器材準備や土曜日・日曜日を割きボランティアで指導にあたるインストラクターへの最低限の謝金と交通費に使用されています。
各支部でのインストラクターが増えて、交通費などの経費が少額となりましたので、2009年1月から受講料を大幅に減額しました。
インストラクターが日本循環器学会研修施設で増え、トレーニングが施設で開催され、更に業務時間内で実施されるようになれば、受講料は更に減額が可能となります。 循環器学会の会員の皆様方が、院内外で発生している心停止や心血管救急医療に対するチーム医療におけるリーダーとして活躍いただくため、エビデンスに基づいた質の高いトレーニングを受講され、さらには指導者となっていただけることを願っています。 AHA ECCプログラムによる心肺蘇生法講習を会員以外の方々にも広く受講していただき、さらには指導者としても参画していただきながら地域の救命率向上を目指したいと考えております。心肺蘇生の質の確保には、2年ごとの講習の再受講が勧告されていますので、新規コースの半分の時間による更新コースの開催を行っています。新規に専門医を取得される方は、その時期にあわせて各支部あるいは他のITCによる新規あるいは更新コースを受講いただきますようお願いいたしております。 また、日本循環器学会は、日本蘇生協議会(JRC)に加盟し、AHAとともに国際蘇生連絡委員会(ILCOR)による蘇生と心血管救急治療に関する国際コンセンサス作成会議に参画し、エビデンスに基づいたガイドライン作成に貢献しています。多くの方々にエビデンス発信やガイドライン作成に御参画いただける機会を設けています。将来的には、専門医の先生方へのトレーニングコースの開発も可能となるものと期待されます。 どうか、以上の主旨をご理解いただき、JCS-ITCの心肺蘇生法トレーニングにご支援ご指導をよろしくお願いいたします。 |
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日本循環器学会循環器救急医療委員会 委員長 小川 久雄 副委員長 ITCコーディネーター 野々木 宏 |
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