提言「スポーツ現場における心臓突然死をゼロに」
日本循環器学会と日本AED財団は、スポーツ中に心臓発作を起こして亡くなる突然死をなくすため、救命に欠かせないAEDを倒れてから3分以内に使えるよう会場やコースに配置するなど、体制の整備を求める提言をまとめました。 スポーツと心臓突然死 スポーツ現場では心臓突然死のリスクが安静時の17倍まで高まります。その多くは心室細動という不整脈によるもので、それを止めるにはAEDによる電気ショックしかありません。しかしそれが1分遅れる毎に1割ずつ救命率も低下し、10分を過ぎると救命は困難となります。 救命の条件とは もし心停止が起こっても、3分以内に電気ショックを行えば、およそ7割の人の命を救うことができますが、それには心停止で倒れる瞬間を目撃、そばに救助者がいる、そして近くにAEDがある、といった3条件が必須となります。周到な準備をすれば突然死をゼロにすることも夢でなく、実際、東京マラソンでは過去12回の大会で11名中11名の全員が心停止から救命されています。 準備態勢の構築 スポーツイベントでは、心停止が起こる可能性を想定内と捉えることが重要で、その発想のもとに、開催者や参加者が事前に周到な準備をすることが望まれます。参加者への教育や、救助チームの組織化と共に、どの場所でも2分以内にAEDを届けられる環境作りもポイントとなります。 オリンピック・パラリンピックに備えて 日曜ランナーから本格的な競技選手まで、皆が安心してスポーツを楽しみ、競い合うことができる環境を整備し、安全安心な国ニッポンを目指したいものです。 |
一社)日本循環器学会 AED検討小委員会 委員長 一財)日本AED財団 理事長 三田村 秀雄 |