Glycemic Variability on Continuous Glucose Monitoring System Predicts Rapid Progression of Non-Culprit Lesions in Patients With Acute Coronary Syndrome

編集長のコメント:
東北大学循環器内科 教授
Circulation Journal 編集長 下川 宏明 氏

 食後高血糖を含む終日の血糖管理の重要性が指摘され,連続血糖モニターの有用性が注目されています。本研究は,急性冠症候群患者において,1日の血糖変動幅が大きいほど非責任病変の動脈硬化が進展することを示した点で重要です。
出典元:Medical Tribune(2015年10月22日号)

著者の横顔:
所属先:横浜市立大学市民総合医療センター心臓血管センター内科
氏名 :片岡 俊介氏

 片岡氏は横浜市立大学病院で初期臨床研修を受け,指導医らの優秀さ,臨床や研究に頑張る姿に憧れて循環器内科医になったという。同大学大学院病態制御内科学(梅林敏教授)に2012年に入学,CGMSで測定した糖代謝指標と心血管イベントとの関連を中心に研究に打ち込む一方,同大学市民総合医療センター心臓血管センター内科(木村一雄教授)診療医として勤務している。  横浜市は全域で救急車に12誘導心電図を標準装備し,救急救命センター・循環器内科医師,救命救急士らが尽力してACS患者を治療可能施設に迅速に搬送するシステムを構築。心臓血管センター内科では年間約400例のPCIが施行される。通常術後1年前後にフォローアップCAGが行われるが,無症候性でもRPを来す症例が散見されるという。同科では,非ST上昇型ACS責任病変のRPが,hs-CRP高値および多発性複雑病変に関連することを既に報告。片岡氏らは,RPを来した患者の多くでGVが高めであったことに着目。今回の研究では,hs-CRPに加えてMAGEが,より積極的な治療を要するRPリスクの高い患者のスクリーニングに有用な可能性が示された。  CGMSは1日24時間の高血糖と低血糖の出現を全て捕捉しGVを正確に算出できる。現在のところ,ACS患者の短・中期転帰,心臓MRIでの心筋救済指数,責任病変冠動脈プラーク破綻とGVとの関連などが検討されている。同氏は「GV抑制の介入方法と心血管イベント抑制効果が証明されるには,大規模かつ長期の介入研究の結果を待つ必要がある。GVについて,国内からも研究報告が相次いでいる。われわれも症例を集積し,臨床に還元できる研究につなげていきたい」と述べている。
出典元:Medical Tribune(2015年10月22日号)