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非ST上昇急性冠症候群への早期介入療法と保存療法の転帰は同じ
Health Day News 3月9日
非ST上昇急性冠症候群(nSTE-ACS)患者における長期追跡研究により、早期の侵襲的治療法と保存的治療法において、罹病率と死亡率に差のないことが、「Lance」3月10日号に報告された。
アカデミック医療センター(オランダ、アムステルダム)のRobbert J. de Winter氏らは、nSTE-ACS患者1,200人を対象に、早期侵襲的治療群と保存的治療群に無作為に割り付け、長期の追跡研究を実施した。前者には、早期にルーチンなカテーテル検査と必要に応じての血管再生術を、後者には、患者が難治性狭心症か再発性虚血を起こした場合にのみカテーテル検査を施行した。
4年後の全死因死亡率および心血管死因死亡率において、両群間に差は認められなかった。3年後の死亡、心筋梗塞の再発、狭心症による再入院を総合した転帰率は両群で同じであり、死亡率、心筋梗塞発症率も両群で同じだった。早期侵襲的治療群では、3年後に心筋梗塞発生率に有意な増加が認められた(ハザード比1.61)。
「nSTE-ACSおよび心筋トロポニン値が上昇している患者では、早期侵襲的治療が保存的治療よりも優れているとはいえず、どちらも治療選択肢となりうる」とde Winter氏らは結論づけた。
心電図異常が閉経後女性の将来的な心血管イベントリスクを予測
Health Day News 3月6日
心血管疾患の症状がなくても、心電図で軽度、あるいは重度の異常が認められる閉経後女性は、将来的に心血管イベントを発生しやすいとの研究結果が、米国医師会誌「JAMA」3月7日号に掲載された。
米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部(シカゴ)のPablo Denes氏らは、閉経後女性1万4,749人の追跡研究を実施。研究開始時の心電図検査で、9,744人は正常、4,095人は軽度の異常、910人は重度の異常と分析された。追跡期間中の心血管イベント発症数は、正常群118人、軽度群91人、重度群37人。またイベント発症率は、1万人あたりそれぞれ21人、40人、75人であった。
被験者は全員、ホルモン補充療法または対照薬としてプラセボを処方されたが、ホルモン補充療法は心電図検査結果によるリスク予測能力に影響を与えなかった。
「低コストで普及率が高く、解釈が容易である心電図検査は、無症候性の閉経後女性において、将来的な心血管イベントの予測に有益である。心電図異常は、心血管イベントの一次予防において、医師にさらなるリスクの層別化、積極的な治療介入を考慮させるものになる」と著者らは述べている。
家族性の冠動脈疾患とメタボリックシンドロームにLRP6遺伝子変異が関与
Health Day News 3月2日
Wntシグナル経路上の共受容体の遺伝子変異が、若年発症の冠動脈疾患とメタボリックシンドローム発症のリスクファクターとなることが、「Science」3月2日号に報告された。
米エール大学医学部(コネチカット州)のArya Mani氏らは、希少な常染色体優性の冠動脈疾患を若年発症している一家系を研究した。同家族は、骨粗鬆症および高血圧、高脂血症、糖尿病などのメタボリックシンドロームの特徴を併せ持っていた。
これらの特性(形質)は12番染色体領域に関連しており、この領域にはWntシグナル経路の共受容体蛋白質をコードするLRP6遺伝子が存在する。この家系では、高保存領域(a highly conserved region)においてLRP6遺伝子に変異が起きていることが判明。さらに、LRP6の変異はin vitroでWntシグナルを乱すことが確認された。
「この研究結果は、Wntシグナル経路の単一の遺伝子変異が、冠動脈疾患および多様な心血管疾患のリスクファクターとなっていることを示している」と著者らは述べている。
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2JCS-ITCを設立いたしました
日本循環器学会はAHAガイドライン2005に基づいた心肺蘇生と心血管救急治療プログラムの普及・教育活動を独立して展開するため、このほどAHA認定のJCS-ITC(International Training Center)を設立しました。
今後はACLSプロバイダーコースを全国的に展開するためのルール作りを早急にすすめ、ACLSの専門医試験受験者必修化をめざして活動いたします。会員の皆様の厚いご協力とご支援をお願いいたします。

- JCS-ITC設立調印式の模様(2007年3月16日)
- (左)AHA ECCプログラム・ディレクター Johan Hultman 氏
- (右)心肺蘇生法委員会 笠貫 宏 委員長
3循環器専門医試験の受験申請書類請求を受け付けています
第18回(2007年度)日本循環器学会認定循環器専門医資格認定審査の受験申請に必要となる下記書類のご請求を、学会ホームページで受け付けています。
以上3点の書類は、ご請求に応じて事務局から順次発送させていただきます。 書類請求の締切は4月26日(木) 17時(※必着)です。受験予定の方はお早目にお取り寄せください。
書類ご請求はこちらのページから。
4評議員選挙の投票資格について
本学会評議員の任期満了に伴い、2008年4月1日から就任する評議員の選挙を2007年度に施行します。
選挙資格者(投票者)の資格取得のため、資格取得基準日である2007年3月31日(土)までに規定の年会費納入を完了していただきますようお願い申し上げます。
会費納入状況がご不明の場合は、学会事務局(admin@j-circ.or.jp)までお問い合わせください。
※注意事項※
2007年3月31日までに日本循環器学会の口座に年会費入金が完了していなければなりません。お送りしています払込用紙で、最寄りの郵便局にてお手続き下さい。なお郵便局ATMのご利用や一部地域では、振込みから口座への入金完了までに1週間程度かかる場合もありますので、至急お手続きいただきますようお願い致します。
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