JCS Newsletter

Vol.9 (2007.4.10)

  • World Circulation News PLUS
  • 2004年循環器疾患診療実態調査 調査結果報告書
  • 評議員・正会員代表選挙の被選挙者名簿を公示しています

新年度が始まり、会員の皆様も何かと慌しいことと拝察します。
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1World Circulation News PLUS(Health Day News 提供)

海外の循環器系ニュースの短報(和訳)をお届けします。(利用規約

薬剤抵抗性高血圧患者の血圧を低下させる埋め込み装置

Health Day News 3月26日

頸動脈洞の圧受容器を刺激する医用デバイス(装置)により、薬剤抵抗性の高血圧患者の血圧と心拍数を有意に低下させたとする研究が、米ニューオーリンズで開催の米国心臓学会(ACC)の年次集会で報告された。

オランダのマーストリヒト大学病院のPeter de Leeuw氏らは、中等症高血圧(収縮期血圧が160mmHg以上)で、少なくとも3種類の降圧薬に抵抗性を示した患者26人に、Rheos Baroreflex Hypertension Therapy System(圧反射高血圧治療システム)を鎖骨近辺の皮膚下に埋め込んだ。このデバイスは、頸動脈洞の圧受容器を電気刺激する。

3〜6カ月後、患者らの収縮期血圧と拡張期血圧および心拍数は有意に低下していた。

「このデバイスの長期的使用の有用性が初期観察で確認された。さらに長期的な評価のための、多施設における前向きの無作為化盲検試験もすでに開始している」と著者らは述べている。

安定的な冠動脈疾患患者には薬物療法のみで十分

Health Day News 3月26日

安定した冠動脈疾患患者に血管形成術を実施しても、患者の死亡率とイベント発症率の低減に寄与しないことが、「New England Journal of Medicine」3月26日号、および米ニューオーリンズで開催の米国心臓学会(ACC)年次集会で発表された。

米バッファロー総合病院(ニューヨーク州)のWilliam E. Boden氏らは、米国とカナダの医療センター50カ所の患者2,287人を対象に臨床試験を実施。被験者は心筋虚血のエビデンスおよび顕著な冠動脈疾患を有しており、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と至適薬物療法を受ける群(1,149人)、または薬物療法単独群(1,138人)に無作為に割り付けられた。追跡期間の中央値は4.6年。

追跡期間中に一次イベント(死亡あるいは非致死性心筋梗塞)が発症したのは、PCI群で211人、薬物治療単独群で202人であった。また二次イベントの死亡、心筋梗塞および脳卒中発症数でも、両群間に有意な差は認められなかった。

「今回の知見は、たとえ多枝にわたり誘発性の虚血が存在していても、症状が安定している冠動脈疾患患者では、集中的、多面的な薬物療法を実施かつ維持しさえすればPCIを据え置いても安全であるとする、既存の臨床実践ガイドラインを立証する結果となった」と著者らは述べている。

長期の禁煙は動脈壁硬化に可逆性をもたらす

Health Day News 3月19日

禁煙を1年以上続けると動脈の硬化は緩和され、10年続けると動脈硬化のパラメーターは問題にならない程度にまで低減することが、「Hypertension」3月20日号オンライン版で報告された。

アイルランド、トリニティ大学(ダブリン)のNoor Ahmed Jatoi氏らは、18歳〜80歳の未治療の高血圧患者554人(56%は女性)を対象に研究を実施。被験者は、現在喫煙中(150人)、非喫煙者(268人)、元喫煙者(136人)に分類され、元喫煙者はさらに、禁煙期間が1年以下、1〜10年、10年以上にサブ分類された。

非喫煙者と比較すると、現喫煙者および元喫煙者は脈波伝播速度と反射波が有意に高かった。また、禁煙期間と脈波伝播速度その他の動脈硬化パラメーターの改善度は有意な線形(リニア)的関係にあることが判明した。

「この研究は、動脈硬化が可逆的であることを示しており、喫煙しないことの重要性と、喫煙を継続している高血圧患者への禁煙促進の必要性を浮き彫りにした。今後、これらの結果を前向きの長期的研究で確証する必要がある」と著者らは結んでいる。

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World Circulation News (WEB)
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22004年循環器疾患診療実態調査 調査結果報告書

我が国の循環器疾患に関するエビデンスやデータベースの必要性が指摘されています。そこで、日本循環器学会学術委員会(委員長 堀正二)では、循環器疾患の診療実態調査を全国規模で開始しました。今回2004年1〜12月の診療実態について、全国1169施設(循環器内科1133施設、心臓血管外科460施設、小児循環器科123施設)より回答を頂き、その集計結果を、「2004年循環器疾患診療実態調査報告」としてホームページに公表することとしました。施設概要、循環器検査、治療(補助循環、カテーテル治療、不整脈治療、外科手術等)などの情報を、主に施設形態別に集計していますので御参照ください。
学術委員会では、本検査を今後も継続し、日本の循環器診療の質の向上に役立てていきたいと考えております。継続することによって日本の診療実態の経時的推移が把握され、さらに有益な情報を会員のみならず社会に向かっても発信できるようになることが期待されます。今後も皆様方のご協力をよろしくお願いいたします。

2004年循環器疾患診療実態調査 調査結果報告書はこちらで公開しています

3評議員・正会員代表選挙の被選挙者名簿を公示しています

今年度は、評議員・正会員代表選挙(2008年度就任)が実施されます。現在、被選挙資格者の名簿をホームページで公開しております。訂正や地区の移動等がございます場合は、6月30日までに学会事務局までご連絡をお願いいたします。

→被選挙資格者一覧はこちら

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