しんふぜん
心不全

4. 心不全の治療

心不全は1つの病気ではなく、心臓の働きが低下した結果、起きた状態ですから、治療の原則は、心臓の働きを低下させたもともとの原因をはっきりさせ、その原因となった病気を治療することにあります。
高血圧は心臓の負担になるだけでなく、心臓の筋肉の肥大をきたしますから、そのコントロールは極めて大切です。
心臓弁膜症では弁を人工弁と取り替える人工弁置換術などが、狭心症や心筋梗塞が原因であれば、冠動脈に風船(バルーン)を入れて膨らませ、この動脈の流れをよくする風船治療や、冠動脈バイパス手術などが必要になります。
しかし、こうした治療も、すでに心臓の働きがかなり低下している場合は、効果に限界があります。
拡張型心筋症という心臓の筋肉自身の病気の時は、原因は不明で根本的な治療法はありません。しかし、その原因がなんであれ、心不全の状態を少しでも改善する治療法は飛躍的に進歩してきました。

慢性心不全の薬による治療

心臓にかかる負担を軽くするアンジオテンシン変換酵素阻害薬などの「血管拡張薬」、長期的には心臓に障害を与えやすい神経やホルモンの作用を抑制する「ベータ遮断薬」、そして「抗アルドステロン薬」の3つが基本的な薬です。そのほか「体内の余分な水分を取り除く「利尿薬」、心臓の働きを手助けする「ジギタリス」、などがあります。 これらの薬で、心不全症状が改善したり、落ちついたりしても、症状が再発することがあります。一つは原因となる病気が進行した場合で、この時は薬の処方を改めて検討する必要があります。

慢性心不全の薬以外の治療

薬による治療が難しい重症の患者さんには、心臓の動きをペースメーカーで統一させる「両心室ペーシング」や重症患者さんで認められる命に関わる不整脈を止める「埋め込み型除細動器」などがあります。内科的・外科的治療を尽くしてもなお強い心不全症状が残る時には心臓移植を検討します。条件を満たした場合は心臓移植待機となります。心臓移植を待つ間に一時的に「補助人工心臓」を使うこともあります。