コール&プッシュに関する代表的な質問と回答をまとめてみました。

心肺蘇生法の手順について

心肺蘇生やAEDを操作するのに何らかの資格は必要でしょうか?
特に資格は必要ありません。ただし、トレーニングを受けていないとあわてたり、ちゅうちょすることがあるので、できるだけ講習会に参加してみて下さい。一度参加していただければ、何かできるという勇気を持っていただけると思います。
心停止でない方に間違って胸骨圧迫をしてしまっても大丈夫でしょうか?
心停止でない方に、誤って胸骨圧迫をしてしまっても、血液の流れに支障はありません。一生に一度あるかないかの緊急の場面で、心停止を正確に判断することは困難です。心停止かどうか判断に迷ったら、ちゅうちょせずに胸骨圧迫を開始して下さい。
「心臓マッサージ」ではなく、「胸骨圧迫」というのはなぜですか?
心臓マッサージには外科的に開胸して、止まっている心臓を直接手で圧縮する方法もありますが、一般に蘇生時に行うのは胸の上からの間接的な圧迫法ですのでこのような呼び方が最近では頻用されています。胸骨とは胸の真ん中にある骨で、この部分を強く押すことで、止まってしまった心臓の代わりに血液を全身にまわすことができます。
なぜ人工呼吸をしなくてもよいのでしょうか?
突然の心停止の多くに対して、胸骨圧迫のみの蘇生法に、人工呼吸を行う場合と同様の効果があることが分かってきたからです。詳しくは「トップページの日本循環器学会がコール&プッシュを推奨する理由」をご覧下さい。
けいれんをみたらどうしたらいいのでしょうか?
心停止の直後には、けいれんが出ることもありますが、けいれんはすぐに収まります。てんかんなどによるけいれんとの区別が難しいこともありますが、反応がなく正常な呼吸がないと思えば、心停止と判断し、胸骨圧迫を開始して下さい。
意識がなく、あえぐような呼吸をしています。心停止との区別はどうすればよいですか?
心停止の直後には、あえぐような呼吸が見られることがあります。いつも通りの呼吸でないと思えば、心停止と判断し、胸骨圧迫を開始して下さい。
胸骨圧迫の際に、胸の位置が元の位置に戻るまで力を抜くことが重要なのは何故ですか?
胸が元の位置に戻る時に全身から心臓へ血液が戻ってきます。しっかり圧迫するとともに、元の位置に戻るまで力を抜くことで、胸骨圧迫の効果を最大にすることができます。但し、手がズレるのを防ぐために、力を抜いたときも手が相手の皮膚から完全に離れてしまわないよう注意します。
胸骨圧迫をしっかりと続けていると疲れてしまうのですが、どうしたらよいですか?
しっかりとした胸骨圧迫を継続するために、疲れる前に胸骨圧迫を交代する事を推奨しています。
胸骨圧迫で骨が折れたりすることはないですか?
折れることはありますが、それを恐れて胸骨圧迫をしなかったり、力を加減したりすると、結局その人を助けることはできません。しっかりと胸骨圧迫を行い、救命を最優先にして下さい。
もし、上手くいかなかったりしたら、訴えられることはありませんか?
救命処置は、基本的に義務のない第三者が他人に対して、傷病者の身体に対する「急迫の危害」を逃れさせるために実施するものであり、悪意または重過失がなければ心肺蘇生法の実施者が救急患者から責任を問われることはないとされています。

AEDについて

AEDが電気ショックするときに、倒れている人に触れているとどうなりますか。
感電するおそれがありますので、必ず離れていることを確認してください。
AEDの指示通りに使用して、適応ではない人に誤った治療をしてしまうことはないですか
AEDの解析診断は非常に正確で、心停止の人に使用する限り間違いはないと考えていただいて結構です。
AEDが「解析中です。離れてください」と指示している時に、胸骨圧迫などを続けていればどうなりますか。
心電図の解析が適正にできなくなる上、電気ショックも遅れることになるので、AED の指示に従ってください。
講習を受けていないと、AEDを使用してはいけないのでしょうか?
講習を受けていなくても、AEDを使用することができます。ただし講習を受けていないと心停止の診断に時間がかかったり、AEDの操作に手間取ったりする可能性があるので、できるだけ多くの方に講習を受けていただきたいと考えています。