
2025年5月12日(月): 【国民の皆様向けメッセージ掲載】
お知らせ
「発熱・咳嗽に対する薬物適正使用に関して」
一生体防御反応の観点から一
第41 回和漢医薬学会学術大会特別提言
急性感染症において「生体における発熱/咳嗽」の意味を改めて考えてみた場合、基礎/臨床研究ともに、発熱/咳嗽は生体防御を目的とした合目的な反応であることを示しているFl, Cl) 。
したがって、「発熱/咳嗽」に対して、その発生機序を考えずに画ー的に解熱薬/鎮咳薬を使用することは、隠された真の原因を見逃し病気を長引かせる、場合によっては増悪させてしまうことを理解する必要があるF2-4) C2) 0
医学的知識を患者に正しく伝えることは、医療者としての使命である。「発熱/咳嗽」に対して、解熱薬や鎮咳薬を使用する際には、それらの作用機序FS)C3)を理解した上で、投薬に関する益と不利益を患者にも理解できるように説明し、「発熱/咳嗽」が必すしも悪い症状で(およいことを十分理解してもらうことが必要であるF6) 。そのうえで、病初期には屯用を中心とした内服法についても考慮することが理想的である。
その症状の発生する機序に立ち返って、薬物治療することを推奨したいF2, C-1)。現在の市場における解熱薬・鎮咳薬の不足は、画ー的な使用も遠因と考えられ、それらの薬物乱用の防止にもつながる可能性がある。漢方薬にも、合目的な処方があることF7-8)を多くの医療関係者に知っていただき、解熱薬・鎮咳薬をともに適正に使用することを提言する。
日本の医療人による正しい医学知識の普及を期待して、本提言を行う。
なお、われわれは「発熱/咳嗽」の治療薬の禁止を訴えているのではなく、繰り返しになるが、医療関係者に発生機序を考慮し、そのうえでの処方の適否を検討することを強く期待するものである。
2024年8月25 日