開会挨拶

 今回のセミナーは、日本循環器学会がメディア関係者を対象に初めて開催したものであり、同学会の理事長を務める山口徹氏は開会挨拶で「本学会は、サイエンスを追求するだけの学会ではなく、『開かれた学会』を目指している」と宣言。以前は学会員しか閲覧できなかった各種循環器疾患の治療ガイドラインや、日本循環器学会が認定した循環器専門医の氏名と勤務先などの情報を2007年に学会ホームページ上で公開したことなど、一般市民への情報提供活動を積極的に推進していることを紹介し、本セミナーの開催もその一環であると強調した。
 また、この日のテーマである心肺蘇生の重要性について触れ、同学会では2008年度から循環器専門医資格認定試験の受験必須資格として「ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support:二次救命処置)トレーニング講座」の修了を定めたことを紹介した。山口氏は最後に、「今日は本学会のこうした取り組みをメディア関係の皆様にお知らせできるまたとない機会であり、心肺蘇生について理解を深めていただくことを期待したい」と述べ、挨拶を締めくくった。


座長挨拶

 本セミナーの座長を務めた笠貫宏氏は、講演の開始に先立ち、「心臓病の診断・治療・病態の解明を専門とする本学会にとって、心臓性の突然死の予知および予防は大きな課題だ」と述べ、本テーマの重要性を強調した。続いて自らが委員長を務める循環器救急医療委員会の活動を紹介し、「心肺蘇生の分野で日本発のエビデンスを世界に発信していくとともに、わが国の救急医療の充実にも貢献していきたい」と、学会を挙げて心臓突然死の減少に真剣に取り組んでいく姿勢を示した。
 さらに、病院外で心臓が停止した患者を救出する手段として、自動体外式除細動器(AED)の使用が一般市民にも認められるようになったことについて言及。「一般の方々でもAEDによって心臓が停止した人の命を救えるようになったことは、社会的に非常に大きな意味を持っている。ご来場の皆様には心肺蘇生の実際を知ってもらい、ぜひとも国民の方々にメッセージを届けていただきたい」と述べ、座長挨拶とした。